単層カーボンナノチューブを精製する

目的

単層カーボンナノチューブ(SWCNT)は、カイラリティの違いによって金属的性質をもつものと半導体的性質をもつものがあります。
しかし合成されたSWCNTは電気的および光学的性質が均一でないために、その特性ごとにSWCNTを精製する必要があります。 そこで「密度勾配遠心法」を用いたSWCNT精製の手順を検討しました。

精製手順

精製手順イメージ図

未精製SWCNT分散液(含界面活性剤)を遠心分離する際の精製手順イメージ図

1.合成したSWCNTに界面活性剤を加え分散させます。
2.遠心分離により凝集物を除去し、単分散液を得ます。
3.SWCNT分散液を密度勾配液に積層し、遠心分離を行います。
SWCNTは界面活性剤の吸着により、それぞれのカイラリティに応じた密度になるため、 チューブ内で分離層を形成し分離します。
4.密度勾配液中のSWCNTの分離層を抽出します


精製された金属型SWCNTと半導体型SWCNTの光吸収データ

金属型SWCNT(BlueMetal INK)の光吸収ピークは700nm付近に見られます。半導体型SWCNT(RedSemicon INK)の光吸収ピークは1000nm付近に見られます。

ポイント

「密度勾配遠心法」はカイラリティ、直径、長さなどの様々な特徴によってSWCNTを分離することができます。
「密度勾配遠心法」によるSWCNTの精製は、密度勾配液の条件および界面活性剤の種類や濃度によって、分離層の幅や位置を変化させることが可能であるため、非常に優れた方法であると考えられます。