新規酵素タンパク質の同定における遠心機活用例

浅野酵素活性分子プロジェクト※
富山県立大学 生物工学研究センター(浅野泰久教授研究室)
山口 拓也 先生  博士(農学)

2012年、北海道大学大学院農学院 生物資源科学専攻 博士後期課程修了
2012年、富山県立大学ERATO浅野酵素活性分子プロジェクト 研究員
2015年、同プロジェクト 生物資源探索グループ グループリーダー

  • ERATO:国立研究開発法人 科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業(総括実施型)

プロジェクト概要

酵素は、生物が産生するタンパク質であり、化学反応を温和な条件で効率的に触媒する。酵素を応用する技術はホワイトバイオテクノロジーと呼ばれ、化学産業において環境負荷の少ない技術の1つとして注目されている。産業用酵素は主に微生物から見出されてきたが、本プロジェクトでは、植物や動物も産業用酵素資源としてとらえ、新規酵素の探索を行っている。
さらに、植物や動物から見出した新規酵素の酵素化学的諸性質の解明と、利用法の開発を行うことで、将来のホワイトバイオテクノロジーの発展に貢献することを目標としている。
一部の植物は、化学防御物質としてニトリル化合物をアミノ酸から生合成します。私達はその生合成に関与するシトクロムP450(CYP79とCYP71)をウメやオオイタドリから見出しました。ニトリル化合物は産業上有用な化合物ですので、植物のシトクロムP450はニトリル化合物の発酵生産に利用できると考えています。そこで、シトクロムP450の酵素化学的諸性質の解明と、大量発現系の構築を行っています。

図:酵素活性分子

研究室風景

超遠心機(右写真:CP80NX)、高速冷却遠心機(左写真:CR22GⅢ)他、多くの当社製遠心機をご使用いただいております。

研究室風景

私の遠心機使用背景

超遠心機大容量アングルローターP27A(160mLボトル×6本 MAX:106,000xg)を使用した、 効率的な膜画分の回収、除去/共通機器室での既存他社製ローターの有効的な活用

植物のシトクロムP450は膜結合タンパク質です。シトクロムP450の酵素化学的諸性質を解明するためには、大量のサンプルから膜画分の回収、または除去をする必要があります。
これまでは複数回超遠心することもありましたが、himac独自の大型超遠心ローターを使用することで、1度に1Lのサンプルを10万xgで処理できるようになり、サンプル調製の時間短縮につながっています。

himac遠心機のお勧めポイント

写真a:大腸菌の大量培養
写真b,c:集菌後、超音波破砕でシトクロムP450が抽出されると、赤くなる

生体試料を回すのであれば、大容量でも、10万xgは最低限欲しいところです。

共通機器室(超遠心機)での他社製ローターと当社製ローターの併用

超遠心機は富山県立大学様の共通機器室に設置されており、同学ではhimac超遠心機で他社製ローターもご使用されています。 高額な超遠心機のローターを併用できる、himac超遠心機であれば、他社製ローターも使用可能(オプション)で、資産の有効的な活用にもつながります。

  • 詳しくは当社営業担当まで御問合せください。

多くの研究者が使用する共通機器室だからこそ、ローターの併用は好まれています。