エクソソーム分離における遠心機活用例

名古屋大学 大学院工学研究科 化学・生物工学専攻(馬場嘉信教授研究室)
助教 安井 隆雄 先生  博士(工学)

2009年4月~2011年11月、日本学術振興会特別研究員DC1
2011年11月、名古屋大学 大学院工学研究科 化学・生物工学専攻、
博士課程後期課程 早期修了 博士(工学)
2011年11月、日本学術振興会特別研究員 PD
2012年1月、名古屋大学 大学院工学研究科 助教
2014年11月、革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)PM補佐を併任
2015年10月、JSTさきがけ研究員を兼任

私の研究テーマ

ナノ空間でエクソソーム解析を可能にする

近年、細胞が分泌する直径40-200nmの脂質二重膜で覆われたエンドソーム由来の小胞顆粒であるエクソソームの中に、生命の微調整役として機能するmicroRNAが発見され、がん化因子としてのがん細胞由来のエクソソームが注目されている。そこで私達は、ナノ空間を創製し、がん細胞から正常細胞への輸送されるがん化因子であるエクソソームの定量解析を目指している。

私の遠心機使用背景

遠心分離や市販のキットを使わないナノ空間を用いたエクソソーム分離技術開発

安井先生の所属する馬場研究室では、微細流路内に作製したナノ空間に少量の体液や培養上清液からエクソソームを吸着させ、エクソソーム由来のmicroRNAを効率的に抽出する手法を研究されています。
現在、安井先生はがん細胞が放出するエクソソームをナノ空間で選択的に捕捉するという研究をされています。そのための試料作りの際に、小形超遠心機でエクソソームの回収を行っています。ナノ空間の形状や配置パターン、表面材質を変えることで、どの種類のエクソソームが回収できるか等が現在の主なテーマです。

ナノ空間によるエクソソームの選択的分離

himac遠心機のお勧めポイント

S50Aアングルローター

当研究室では、小形超遠心機を使用しています。通常の超遠心機と比べひと周り小さく、設置場所にほとんど困りません。 また、100Vの電源で運転出来るため、エクソソーム回収のため、クリーンベンチのすぐ隣に設置しています。

【大容量アングルローターを使用した、エクソソームの効率的な回収】

小形超遠心機用ローターの中では大容量の30.0mLチューブまで回せます。当初は大型の超遠心機を使用していましたが、設置場所の制限や、使い勝手の良さから小形超遠心機を選びました。

写真a:チューブのフタがいらず、任意の量で使用出来る肉厚チューブやスクリューキャップ付ボトルを良く使用します。
写真b:110,000xg、80min エクソソーム分画 沈殿物が目視できます。