神経細胞の膜タンパク質構造解析における遠心機活用例

東京大学 放射光連携研究機構 生命科学部門(深井周也准教授研究室)
助教 山形 敦史 先生  博士(理学)

2002年、大阪大学大学院理学研究科生物科学専攻博士課程修了
同年、日本学術振興会特別研究員PD
2003年、スクリプス研究所分子生物学科博士研究員
2007年、東京大学放射光連携研究機構生命科学部門 助教

私の研究テーマ

私たちの脳は、数千億の神経細胞が複雑なネットワークを形成して構成されています。神経細胞同士は、シナプスと呼ばれる接着構造を介して接続しています。
シナプスの形成は、前シナプスと後シナプスにそれぞれ存在するシナプスオーガナイザーと呼ばれる膜貫通型の受容体同士が複合体を形成することが引き金となって起こります。
しかし、現在知られているシナプスオーガナイザーの数はせいぜい10種程度であり、この限られたオーガナイザーがどのようにして数千億にも及ぶ神経細胞間のシナプス結合の多様性と特異性を決めているかは大きな謎です。我々は、シナプスオーガナイザー複合体の構造解析によって、シナプス結合の特異性と多様性を明らかにし、前述の謎の解明を進めて行きたいと考えています。

我々は最近、代表的な前シナプスオーガナイザーの一つである受容体型チロシンホスファターゼPTPdと、それに結合する様々な後シナプスオーガナイザーとの構造解析を行いました。
一連の構造解析からの選択的スプライシングによって生じたPTPdの二つの挿入ペプチド部位(meA,meB)がもたらす立体構造の違いが、個々の後シナプスオーガナイザーに対する選択性の鍵となっていることを明らかにしました。

複合体

研究室風景

シルバー色に統一!
「himac遠心機は全てのクラスの遠心機の色がシルバー色に統一してるので、並べると非常に格好良いと好評です。」

研究室風景

写真a:集菌用大容量ローターや50mL遠心管用ローターなど数多くご使用。高速回転で使用する高速冷却遠心機。
写真b:微量高速冷却遠心機が並び、一番奥は、小形超遠心機です。

私の遠心機使用背景

私たちは現在、大腸菌・昆虫細胞・ほ乳類培養細胞の3つの発現系を駆使して、『可溶性』『膜内在性』『細胞外』の3つの異なる局在のタンパク質の精製を行っています。

himac遠心機のお勧めポイント

P50Aアングルローター

【超遠心機】GFP融合膜タンパク質の回収や性状解析

微量に対応したP50A3ローター(1.5mLチューブ×24本)を用いたGFP融合膜タンパク質の回収や性状解析。
himac独自の高速回転用1.5mLマイクロチューブにより超遠心機で252,000×gまで、しかも24本回せる!
「チューブ操作が複雑なイメージがあった超遠心機も、使い慣れたマイクロチューブであれば、簡単に作業できます。微量サンプルの分離精製に重宝しています。」

1.5mLマイクロチューブ

写真c:1%DDMを加えホモジナイザーとスターラーで撹拌し可溶化

R9Aアングルローター

【高速冷却遠心機】大量発現用の大腸菌の回収や、受容体細胞外ドメインを含んだほ乳類培養細胞培地の回収

特長①:任意の量で使用可能 空で回しても問題ありません。
大容量遠心ボトルは、通常8割以上の液量を入れなくてはいけない遠心ローターが多いため、 毎回、満量で回したり、満量にする為にわざわざ薄めたり、ちょっと残った培地の回収をあきらめたりと、都度培養量の調整が必要です。
「R9Aアングルローターは大容量ローターですが、中容量の遠心もカバーしてくれて、大は小を兼ねてくれます。」

特長②:himac独自の広口ボトル(1,000mL PPボトル)でペレット回収の作業効率UP(上図)
狭口ボトルで回収や洗浄がうまく出来ず、いらいらしたことありませんか?
「ルーチンワークの大腸菌集菌だからこそ、使い勝手が良いボトルを選んでおります。」

himac独自の1000mLPPボトル

写真d:培養液がちょっと残っても、任意の量で遠心できます