原理

遠心分離機は、自然静置状態で物質の比重差で起こる重力沈殿を、遠心重力下でも起こる遠心沈殿の原理を応用し、重量の実に13,000倍の遠心力を作用させ、重力沈殿の1/13,000の短時間で分離を行います。

分離作業

• 分離作業とは、液体と液体と固形物の混合液を分離する作業のことです。この目的のために使用するローター上部の構造は、図に示すように鍔状のインサイド・ダム・ディスクを備え、軽液・重液の二種の排出口が設けられております。つまり、軽液・重液の二液相の境界（分離線）付近のものはインサイド・ダム・ディスクによって受け止められ、軽液はダムの内側から、重液は外側からそれぞれに分離された液が流れで、固形物はローター内に残存します。

  

清澄作業

• 清澄作業とは、液体と固体微粒子との混合液（懸濁液：Suspension）を分離する作業です。この作業に使用するローターは、図に示すように上端の排出口が一種しかありません。本体下部の注入口から注入された混合液中の固形微粒子（液より重いもの）は遠心沈殿によりローターの内壁に付着したままローター内に残存し、清澄された液体のみが流出します。

  

構造

• 機構
  本遠心機の構造は、分離を行うローター、ローターを支える機体部、ローターを回転させる動力部からなっています。ローターは細長い管筒状で、機体上部のベアリングから細軸のスピンドルによって本体胴内に垂直に吊下げられ、ローター下部の先端をドラッグに差し込み回転します。
  
  運転部
  本遠心分離機用に設計された特殊な駆動部を使用し、薄型タイプの特殊ゴムベルトによってスピンドルを回転させます。静音性に優れ、ブレの無い安定した動作を実現しました。
  
  機体
  機体は鋳鉄製で、堅牢且つ軽量なもので本機の骨格をなしています。上部に取り付けたベアリング・プーリーはSKF製ボールベアリングを収め、下部のドラッグには特殊合金製ブッシングを使用し、いずれも独特の構造を持ち、これによってローターはスムーズに回転します。カバーはステンレス製で軽く、取扱いに便利です。
  
  ローター
  ローターは遠心分離機の核となる部分で、その良否は直ちに本機の性能を左右します。材料にはステンレス（SUS-304・SUS-316）を採用し、耐久力が大きく耐用期間も長くなります。筒状のローターの長さを長くすることにより、処理液が遠心力を受ける流路を長くし、効率的な分離を実現します。また構造上、ローター内での処理液の液層が薄くなるため、処理液の遠心沈降効果が最大限発揮されます。

  

型式

分離の目的に適した型式をお選びください。

フロントフレーム開閉型
供給液が危険性（揮発・臭気・毒性・汚染）の無い場合に用いられ、分離用・清澄用のいずれにももっとも多く用いられる一般的な機種です。ローターを保護するフロントフレームを開閉式にすることにより、ローターの取り外し作業を容易にし、作業性を向上させたモデルです。

密閉型
特にワクチンの製造や菌体分離等の医薬品に多く使用される機種です。フロントフレームをステンレス製で、蒸気滅菌・冷却が可能なモデルです。

全密閉型
このモデルはコンタミを特に嫌う分野にも使用できるよう、回転中であっても完全に密閉され、分離作業が行われるように制作されています。特にベアリング・プーリーは特殊なシール構造を用いており、各パーツの素材にはステンレスを採用しています。

インバーター制御（オプション）

• 標準の手動操作式に加え、インバーター制御による全自動操作も可能です。起動・停止はもちろん、任意の回転数で安定した運転も可能です。

  

仕様