himac APPLICATION

No.97 OCTOBER 1999

R10H形高速冷却用マイクロプレートロー夕を用いたサイクルシーケンス後のDNAシーケンシング用試料の精製

機種:CR-F/Gシリーズ高速冷却遠心機

最高回転速度10,000rpmのマイクロプレートロ―夕に96穴PCRプレートを用いたDNAシーケンシング用試料の精製

従来、高速冷却遠心機に使用できるマイクロプレートロータは、最高回転速度5,700rpm、最大遠心加速度5,010xgのR6S形スイングロータが最高スペックのロータでした。
しかし、この度、最高回転速度10,000rpm、最大遠心加速度13,000xg、マイクロプレートが同時に4枚まで使用できるR10H形ホリゾンタルロータが開発されました。従来のスイングロータに比べ約2.6倍の遠心加速度が得られるため、微量液量のプレートを用いてサイクルシーケンス後のDNAシーケンシング用試料の精製を遠心で確実に行うことができます

操作手順

パーキンエルマー社PCR装置用96穴プレート使用
(アダプター:フナコシ(株)「0.2ml PCR Tube Rack」(商品番号:LP0351-0x:xは0~5まであリラックの色による違いです。)

  1. 1ウェルあたり、サイクルシーケンス後の試料20μlに0.5mM MgCl2 in80%エタノール80μlを加える
  2. PCR用シートを貼る。
  3. 振とう器等で十分にMixする。
  4. R10Hロータにプレートをセットする。
  5. 回転速度10,000rpm、10分、4℃、加速「9」、減速「9」で遠心する。
  6. プレートをロータから一旦取り出す。
  7. 遠心後のプレートからPCR用シートをはがし、デカンテーションにて除ける分だけ上清を除く。。
  8. R10Hロータの壁面にペーパー(キムタオルなど)を敷く。
  9. プレートのみを裏返しにセットする。
  10. 回転速度のみ1,000rp血に設定しなおし、スタート後、回転速度表示が300rpmを超えたら即座にSTOPボタンを押す。
  11. プレートをロータから取り出す。

解説

0.2ml用マイクロプレートを用いた遠心操作は試料量が少ないため、十分な遠心加速度が得られないとロス分が多くなります。
しかし、最高回転速度10,000rpm、最大遠心加速度13,000xgのR10Hロータが開発され、この問題が大きく改良されました。
また、遠心処理後の上清の除去に、プレートを逆さにしロータを低速で回転する方法を採用することにより非常に簡便な処理ができます。試薬等の分注には12連あるいは8連のピペットが必要ですが、上清の除去は遠心法により容易に行えます。同様にして70%エタノールでの洗浄も行うことができます。特に、ハイスループットであるキャピラリータイプのシーケンサを導入する際には迅速で安価な多試料処理法の確立が必須であり、この要望に応えることのできるロータです。
また、384穴プレートなどを使用することも可能です。特に、384穴プレートでは更に試料量が少なくなりますのでより有効になると考えられます。

  • サイクルシーケンス後の試料をR10Hロータを用いて精製しパーキンエルマー社製377形DNAシーケンサによリシーケンスした結果です。
    (本結果は、(財)かずさDNA研究所 構造解析室 小谷博一室長からご提供頂きました)