himac APPLICATION

No.89 JULY 1999

分離用小形超遠心機によるリポタンパク質の分離

機種:CS-GXシリーズ分離用小形超遠心機

S80AT3形アングルロータを用いたヒト血清からのリポタンパク質の分離

血清中に含まれているリポタンパク質は脂質の代謝に密接な関係があり、高脂血症に関する研究分野で注目されています。
ここでは小形超遠心機に実容量5.3mlの6PCアツチューブを用い、ヒト血清中からリポタンパク質の段階的な分離を行いました。
チューブ1本あたり血清を3.4ml分離でき、大型の超遠心機による場合に近い条件での分離が可能です。
比重液の調製法等については参考文献によりました。詳細および注意については、当書を参照してください。

1. 使用機種

遠心機:CS-GX形 himac 分離用小形超遠心機
ロータ:S80AT3形アングルロータ
チューブ:6PCアツチューブ

2. 操作及び分離実験

(1) VLDLの分離(ρ<1.006g/cm3

(2) IDLを含むLDLの分離(1.006g/cm3<ρ<1.063g/cm3

(3) HDLの分離(1.063g/cm3<ρ<1.21g/cm3

  • 比重液A*1:1.006g/cm3
  • 比重液B*2:1.182g/cm3
  • 比重液C*3:1.478g/cm3
    1. 分離前の血清
      比重液A:NaCl 11.40gとEDTA‐Na20.1gを1,000mlのメスフラスコに入れ、蒸留水500mlと1N NaOH 1mlを加えて、 よく混じて溶解させる。ついで蒸留水で1,000mlとし、さらに蒸留水を3ml加える。 (NaCl:0.195mol)
    2. VLDL画分
      比重液B:NaBr24.98gを100mlの比重液Aに加える。 (NaCl:0.195mol、NaBr:2.44mol)
    3. LDL画分
      比重液C:NaBr78.32gを100mlの比重液Aに加える。 (NaCl:0.195mol、NaBr:7.65mol)
    4. HDL画分
      ポリアクリルアミドゲルリポプロテインディスク電気泳動試薬;リポフォー(常光)

(参考文献)

  • 生化学実験講座第9巻“脂質の代謝”,p.454-456(東京化学同人)