himac APPLICATION

No.86 MARCH 1997

1L×4本のカーボンファイバーロータでの細胞培養液の分離

機種:CR-Eシリーズ高速冷却遠心機

R9AF形カーボンファイバー製アングルロータを用いた大腸菌の分離

これまでの高速冷却遠心機用ロータの最大容量は500ml×6本、合計約3Lでした。
しかし、このたび1L×4本、合計約4LのR9AF形アングルロータが開発されました。
しかもこのロータはカーボンファイバーを主材料として製造されているため、これまでの500ml×6本、合計約3Lのアルミ合金製ロータ(R10Aロータ、重量:24Kg)に比べ、重さが約65%減の8.5Kgと非常に軽く操作性に優れたものです。
最大遠心加速度は14,900xgと培養液からの集菌操作、培養上清中のタンパク質の硫安分画などに用いることができます。
ここでは、大腸菌の分離条件について検討しました。

分離結果

  • 回転速度 時間 温度 加速 減速
    7,800rpm 7分 4ºC 9 9

解説

通常、大腸菌培養液からの集菌のための遠心分離条件は4,000~6,000xg、10~15分程度といわれています。
従来のR10Aアルミ合金製ロータ(500ml×6本)の場合、加速および減速の時間も含めると1回の遠心時間は約25分必要でした。
しかし、このR9AFカーボンファイバーロータを使用すると、ロータの重さが軽く加速および減速時間が上記従来ロータの約1/2となるため、1回の遠心時間は加減速時間を含めても約12分での分離が可能です。しかも、1回に処理できる最大試料量は実容量で3,640ml(910ml×4本)と従来のR10Aアルミ合金製ロータの最大実容量2,520ml(420ml×6本)に比べ約1.4倍の効率アップとなります。
分離時間も加味しますと、合計約3倍の効率アップとなります。しかもロータの重さが約8.5kgと軽いためロータ交換が容易になり、アルミ合金製ロータよりも使いやすく大量処理も可能です。
なお、このR9AFカーボンファイバーロータ専用の1Lボトル(実容量:910ml)は実容量以下の任意の量で使用できますので、非常に使い勝手の良いロータです。

  • 本アプリケーションは下記の報告を参考に作成いたしました。

(参考文献)
"A 4-L, fixed-angle, carbon-fiber rotor for high/superspeed centrifuges", O. Mitch Griffith, American Biotechnology Laboratory,(October 1996) p24.