himac APPLICATION

No.82 MARCH 1997

小形超遠心機によるプラスミドDNAの分離

機種:CS150GX形分離用小形超遠心機

S140NT形ネオアングルロータによるプラスミドDNAの分離

塩化セシウムの均一濃度液と臭化エチジウムを用いて大腸菌のプラスミドDNAを分離する場合、チューブ容量約2mlのネオアングルロータでは、最低2時間程度の遠心が必要でした。*1)しかし、最近最高回転速度140,000rpm、最大遠心加速度752,000×gのネオアングルロータが開発されるに至り、80分での分離が可能となりました。
ネオアングルロータを用いてプラスミドDNAを分離する際には、N-ラウロイルサルコシン酸ナトリウムやポリオキシ(10)オクチルフェニルエーテル(TritonX-100)あるいはポリオキシエチレンラウリルエーテル(Brij35)などの界面活性剤を添加すると、チューブ底部にRNAを確実に沈殿させることができます。*2),3),4)

分離結果

  • ロータ:S140NT形ネオアングルロータ
    チューブ:2PAシールチューブ
    運転方法:ノーマルモード運転

分離条件

(1) 遠心分離条件

ロータ 回転速度 遠心時間 温度 加速モード 減速モード
S140NT
ネオアングルロータ
140,000rpm 80分 20ºC 9 7

(2) 使用チューブ: 2PAシールチューブ

(3) 試料調製法

プラスミドpUC19DNAなどのプラスミドDNAを含む大腸菌JM109を一夜振盪培養後、アルカリ-SDS法などにより得られたプラスミドDNAを含むTE溶液(10mM Tris-HCl, 1mM EDTA, pH8.0)を試料とします。

2PAシールチューブ1本あたり

  • 試料:1.48ml
  • 塩化セシウム:1.52g
  • 臭化エチジウム(10mg/ml):40μl
  • 界面活性剤:0.05~0.1%

    ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル(TritonX-100):1~2μl
    あるいは、10% N-ラウロイルサルコシン酸ナトリウム:10~20μl
    あるいは、10% ポリオキシエチレンラウリルエーテル(Brij35):10~20μl

以上を混合しシールチューブに注入します。チューブが満たされない場合には、あらかじめ作成しておいた補充液(TE緩衝液1mlあたり塩化セシウム1gを溶解したもの)を加えチューブを満たします。その後、STF-1形チューブシーラにて溶着し密封します。

(参考文献)

  1. himac APPLICATION No.59.
  2. himac APPLICATION No.42.
  3. himac APPLICATION No.43.
  4. himac APPLICATION No.45.