himac APPLICATION
No.101 DECEMBER 1999
DGF-U形密度勾配フラクショネータにより作成した密度勾配液を用いて、超遠心機によリタンパク質及びその複合体を分離・分画した例
機種:DGF-U形密度勾配フラクショネータ、超遠心機スイングロータ
DGF-U形密度勾配フラクショネータにより作成したショ糖密度勾配液を用いて、ラット出来培養神経組織のTriton抽出物を超遠心分離し、組織出来タンパク質が複合体を形成するか否かを検索しました。
複数のサブユニットから成る高分子量タンパク質の単離だけでなく、タンパク質問の相互作用による複合体形成の有無を調べる目的にも、密度勾配液を用いた超遠心分離・分画法が有効です1)。DGF-Uはこのような実験において密度勾配液の調製や、遠心後の分離層抽出に用いることができます。ここでは、ラット由来の培養神経組織のTriton抽出物2)を、DGF-Uにより作成したショ糖密度勾配液を用いた超遠心分離によって分画しました。
1. 実験結果
分離後サンプルの電気泳動より各フラクション毎に異なる組成のタンパク質群が得られていることがわかります。また、ほとんどのタンパク質が密度勾配の上層部(Fr.No.2~5)に回収されるのに対し、分子量150kDa付近のバンドと55~65kDaのバンドのみが、より密度の高いNo.12~16まで沈降しています。この密度勾配では分子量670kDaのチログロブリンがNo.12,13に回収されることから、これらのタンパク質はモノマーではなく、チログロブリンにより大きな複合体を形成していることが推祭されます。
2. 実験方法
- DGF-Uにより5~20%の直線ショ糖密度勾配液をチューブ1本あたり13ml作成
- ラット由来培養神経組織よりTdriton抽出*2)したサンプル溶液1.5mlをショ糖密度勾配液上に重層
- himac 分離用超遠心機、P28S2スイングロータ(16PAチューブ)にて25,000rpm、4º C、20時間遠心(加速モード2、減速モード2)
- 0.6ml毎にFractionation(計24サンプル)し、各Fraction当たり10μlずつ電気泳動
3. 使用機種
遠心機 :himac 分離用超遠心機
ロータ :P28S2形スイングロータ
チューブ :16PAチューブ
密度勾配作成装置 :DGF-U形 himac密度勾配フラクショネータ
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- 勾配液作成と分離後の分画層の抽出ができます
- 液画から注入・抽出ができます
- 液量は0~5ml/minまで任意に変えられます
- 同時に6本のチューブに勾配液が作成できます(3本または1本での作成もできます)
4. References
- Piperno G. and Mead K, Proc.Natt.Acad.Sci.U.S.A.,94,4457-4462 (1997).
- Tsuda M., Tashiro T. and Komiya T., J.Neurochem., 68,2558-2585 (1997).
- 本アプリケーションデータは群馬大学医学部・分子病態研究室・田代助教授のご協力により作成いただいた結果をまとめたものです。